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『暗闇のスキャナー』読了。実はこれが初ディック。村上春樹のことを「日本のディック」と評した文章をどこかで見かけたので興味を持ったのだが,「訳者あとがき」を読んでいきなりほかのを読む気を失う。
SFに依存するのをやめ、神学に依存するようになるまでの短い期間、ディックが自立していたわずかな期間に本書が書かれたことを、われわれは感謝しなくてはならない。
yomoyomo 氏も似たようなことを書いていた。
一言で言えば悲惨なドラッグ小説。ストーリーにもっと起伏があるかと思いつつ読み進めたが,わりと直線的に落ちていく感じ。山形氏は,「読むとあまりの悲惨さに身をつまされてドラッグ(アルコールも含めた広義のドラッグ)に走りたくなってしまうから反ドラッグ小説としては成功していない」といった趣旨のことを同あとがきで書いているが,未経験の人をドラッグから遠ざける効果はあるんじゃないだろうか。物質Dが現実のどういう種類のドラッグに似ているのかよくわからないが。読後感はジム・キャロルの『マンハッタン少年日記』にも近い。ダウナー系のを好む人たちには逆効果なんだろうね。
この本は,山形浩生氏の訳書としては珍しく,わりと批判的な意見をよく見かける。数年前のブルータスの読書特集で山本コテツだかだれかが「警官のことを『マッポ』と訳すのは勘弁してほしかった」と書いていた。「マッポ」という表記が登場するのは最初の方だけなんだが,よほど印象深かったらしい。yomoyomo 氏も「『ナオン』はいかがしたものか」と書いているが,俗語を訳すのは難しいということで。
これを読んで村上春樹とどういう共通点があるのかよくわからなかったので,別のも読んでみるつもり。タイトルのつけ方がうまいんだな。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(これをもじったタイトルの文章はよく見かけるけど,成功例は知らない)とか,『流れよわが涙、と警官は言った』とか。
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