2004/09/23
塵に訊け!
ずいぶん前に買ってあったジョン・ファンテ『塵に訊け!』(都甲幸治訳,DHC)をやっと読了。イタリア系の若い作家志望者アルトゥーロ・バンディーニがロサンジェルスの底辺で暮らしながら経験をつんでいく物語。アマゾンの読者レビューには「主人公アルトゥーロ・バンディーニは自分を際限なくゴミ溜めの下へ下へと押し込んでいく」とあるが,あまりそういうふうには感じなかった。転落していくわけではない。作家としては成功への階段を昇っていく物語なのだから。
なかなか読む気にならなかったのは,著者を投影した作家志望の若者という主人公の設定のせい。その時点で全然関係ない世界の話になっちゃうから。でもこの本の場合,設定のせいで物語の中に入り込めないということはなかった。むしろ,作家志望の童貞だからこそ,ふつうだったら敵意を持ってしまう相手に対しても優しく接するという展開にリアリティが出ていたように思う。そして,主人公の周りにいる人たちはみんな,ブコウスキーの作中人物と似た臭いを放つのだ。つまり,ゴミ溜めの中にいる人たち。そういう人たちに向ける愛情。ブクが参ってしまったのもよくわかる。そして主人公は聖人なのだが,そこが不満といえば不満。もう少し手を汚してもいいのに,という。
あと印象に残ったのは,地震の場面が出てくるところ。翻訳文学でそういうのを目にしたことはあまりなかった。ほかにどういうのがあるかはてなbk1で質問してみようか。「塵に訊け」だけに。
なかなか読む気にならなかったのは,著者を投影した作家志望の若者という主人公の設定のせい。その時点で全然関係ない世界の話になっちゃうから。でもこの本の場合,設定のせいで物語の中に入り込めないということはなかった。むしろ,作家志望の童貞だからこそ,ふつうだったら敵意を持ってしまう相手に対しても優しく接するという展開にリアリティが出ていたように思う。そして,主人公の周りにいる人たちはみんな,ブコウスキーの作中人物と似た臭いを放つのだ。つまり,ゴミ溜めの中にいる人たち。そういう人たちに向ける愛情。ブクが参ってしまったのもよくわかる。そして主人公は聖人なのだが,そこが不満といえば不満。もう少し手を汚してもいいのに,という。
あと印象に残ったのは,地震の場面が出てくるところ。翻訳文学でそういうのを目にしたことはあまりなかった。ほかにどういうのがあるかはてなbk1で質問してみようか。「塵に訊け」だけに。